必要な物品を、必要なときに使える状態へ

訪問介護の感染対策備品管理|開業前に決める保管・持ち出し・補充

訪問介護の感染対策備品は、購入して棚へ並べた後の運用が大切です。訪問へ持ち出す職員が迷わず受け取れ、足りなくなる前に補充できるよう、保管場所と管理の単位、担当を開業前に決めましょう。この記事では、買う物の一覧に加えて準備したい備品管理の流れを整理します。

訪問介護事業所の職員が棚の衛生用品と在庫表を確認するイメージ
保管場所と残数の確認方法を、職員が共有できるようにします。画像はイメージです。

公的資料で確認する範囲

岡山県の令和8年度訪問介護自己点検シートでは、感染予防に必要な設備・備品を備えることや、その衛生的な管理が点検項目に含まれています。購入した品目だけでなく、清掃・消毒、保管の方法や状態を確認できる準備が必要です。開業予定地の指定権者の最新資料と、自事業所の感染対策の指針を照合してください。

同資料には、感染症対策の委員会、指針、研修・訓練等も示されています。この記事は、その中の備品管理の実務に絞ったものです。在庫表を作れば感染対策全体の要件を満たす、という意味ではありません。以下の表や数値例は編集部の実務提案であり、法定の統一様式や必要数量を示すものではありません。

備品ごとに、使う場面と補充単位を決める

使い捨て手袋等を発注する前に、どの場面で何を使うかを指針や研修内容と合わせます。必要な防護具や使用方法を在庫担当だけで判断せず、感染対策を担当する職員と確認してください。製品の用途、サイズ、使用上の注意、保管条件も確認します。

管理する項目記入する内容の例確認の目的
品名・規格用途、サイズ、入り数似た製品との取り違えを防ぐ
数量箱数と個数、未開封・開封済み実際に使える在庫を把握
保管棚の位置、製品の保管条件担当以外も探せるようにする
期限等使用期限、開封日等の必要情報期限や状態を確認して使用
補充補充点、発注先、納品予定欠品と重複発注を防ぐ
担当確認・発注・受取、代行者不在時も運用を止めない

「手袋2」とだけ書くと、2箱なのか2枚なのか分かりません。例えば「未開封3箱、1箱100枚」のように単位を明確にします。サイズ別の使用偏りもあるため、品名だけでまとめず、取り出す人が区別できる粒度で管理しましょう。

事業所全体の購入品は開業に必要な備品リスト、保管場所を含む設備の準備は物件・設備の確認ポイントと合わせて整理できます。

清潔な在庫と持ち帰り品の置き場を分ける

保管場所は、製品の表示に従い、汚れや水濡れ等を避けて衛生的に管理します。床や通路へ箱を置き続ける運用にならないか、棚の容量も確認してください。開封した物品をどこへ置くか、補充時に誰が状態を確認するかを決めます。

訪問先から戻ったバッグや物品を、清潔な在庫の上へ置く流れは避けます。持ち帰り品を確認する場所と、配布用の在庫の場所を区別してください。未使用であっても、包装の破損、汚れ、保管状況等を確認せずに棚へ戻さない手順にします。

使用済みの物品の扱いは、感染対策の指針や廃棄物の区分・処理方法等に沿って別途確認します。この記事の保管例を、すべての物品の消毒方法や廃棄方法として使わないようにしてください。

持ち出しから補充までの流れを試す

直行直帰がある事業所では、事務所に在庫があっても、訪問する職員へ渡らない場合があります。勤務体制に合わせ、次の流れを決めておきます。

  1. 準備:訪問予定と必要物品を確認し、清潔な状態で持ち運べるようにする
  2. 持ち出し:必要な単位で受け取り、残数を把握できる方法を決める
  3. 使用後:使用済み品と未使用品を混在させず、指針に沿って扱う
  4. 確認:残数・包装・期限等の状態と、不足の見込みを確認する
  5. 補充:担当へ伝え、受取日時と場所を確かめる

担当者が休みの日や、事務所へ戻れない日にも対応できるかを確認します。「足りなければ誰かに聞く」という状態を残さず、連絡先と代行者、判断が必要なときの確認先を明確にしましょう。

使用見込みと調達日数から補充点を考える

補充点とは、発注の確認を始める残数の目安です。開業前は使用量が確定していないため、訪問見込みや指針に沿った使用場面をもとに仮置きし、開業後の実績で見直します。納品までの消費に、遅延等への備えを加えて考えます。

例えば、ある物品の使用見込みを1日20個、納品まで3日、事業所が検討した予備を40個とした場合、「20個×3日+40個=100個」を発注確認の目安にする考え方があります。これは計算方法を説明する架空例です。必要量や安全を保証する数値ではなく、全品目に当てはめる基準でもありません。

納品時は、発注した品名・規格・数量、包装や期限等を確認し、受取結果を在庫へ反映します。発注済みの数量と納品予定も見えるようにすると、別の職員による重複発注を防ぎやすくなります。非常時の備蓄や調達困難時の対応は、BCPの準備と整合させて検討してください。

開業前は架空の一日で運用を確認する

実際の個人情報を使わず、架空の訪問予定で準備・持ち出し・残数報告・補充まで通してみます。在庫担当だけでなく、訪問に出る職員や代行する職員も試すと、置き場や単位の分かりにくさを見つけられます。

  • 公的資料と感染対策の指針に必要な備品を照合した
  • 品名・規格・数量の単位を区別できる
  • 保管条件と期限・包装の確認方法を決めた
  • 清潔な在庫と持ち帰り品の置き場を区別した
  • 直行直帰でも受け取れる方法がある
  • 補充点、発注担当、納品確認を決めた
  • 担当不在時の代行者と連絡先がある
  • 架空の一日で運用を試し、不明点を修正した

開業後は、想定より消費が速い物品や、期限までに使い切れない物品を確認します。品目を増やすだけで解決せず、使用場面、配布方法、発注単位を見直しましょう。職員への共有は年間研修計画の準備ともつなげられます。

感染対策備品管理のよくある質問

感染対策備品は全事業所で同じ数量をそろえますか?

一律の数量を示すものではありません。実際のサービス内容、職員数、使用見込み、調達にかかる日数等に合わせて検討し、所在地の指定権者の資料や感染対策の指針と照合します。

未使用なら持ち帰った物品を棚へ戻してよいですか?

未使用という理由だけで判断せず、包装や汚れ、保管状況等を確認する手順を決めます。持ち帰り品を清潔な在庫へ混ぜないようにし、判断に迷う場合は担当へ確認します。

在庫管理表があれば感染対策の準備は完了ですか?

在庫表だけでは完了しません。備品の衛生管理に加え、指針、研修・訓練等の必要な体制を確認します。本記事はそのうち備品の保管と補充の運用を扱います。